会長挨拶

北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学筒井裕之

北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
筒井 裕之

 この度、平成26年11月22日(土)・23日(日)の2日間、北海道大学学術交流会館において「第71回日本循環器心身医学会総会」を開催する運びとなりました。

 日本循環心身医学会の前身である循環器PSM(Psychosomatic Medicine)の会は、昭和47年に日野原 重明先生(聖路加国際病院理事長・同名誉院長)、石川 中先生(故 東京大学心療内科教授)、鈴木 仁一 先生(東北大学心療内科助教授)によって、循環器領域に心身医学(Psychosomatic Medicine)を導入・普及させるために設立され、長年にわたり多くの成果を上げて参りました。平成15年より日本循環器心身医学会となり、現在に至っております。

 循環器患者の多くは命におびえ、心の悩みや苦しみを持ちながら生活の質(QOL)を著しく落としています。さらに、最近の研究から循環器疾患患者のストレスやうつが病気の発症や生命予後にさえ影響することが明らかにされています。日本循環器心身医学会は、循環器疾患患者とその家族の方々の心の問題に目を向け、循環器内科医、精神科医、心療内科医のみならず、関連領域の医療専門職(ヘルスケアプロフェッショナル;看護師、保健師、臨床心理士、管理栄養士、薬剤師、作業療法士、理学療法士、ソーシャルワーカー等)とチームを作って、皆で考え実践していくことを目的としています。このように多くの職域の壁を越えて1つ目標に向かって新たな学際的領域を創造していくという観点から、本学会はわが国においてはきわめて先駆的な学会であると考えております。

 この様な背景をふまえて、第71回総会のテーマは『循環器疾患への多面的アプローチ 〜多職種による包括的心身ケアを目指して〜』と致しました。循環器診療に携わる多様な医療専門職がどう取り組んでいけば良いのか、生活習慣病・心不全・不整脈・心血管リハビリテーションなど循環器疾患の各領域でのシンポジウムを企画しております。また、「循環器内科医として知っておきたい心身医学エッセンシャル」と題した教育講演や、「北海道における循環器心身ケアの取り組み」に焦点をあてた特別企画なども開催する予定です。

 さらにここ数年の取り組みとして、国立精神・神経医療研究センター、国立循環器病研究センターとの合同シンポジウムプログラムも併せて行い、当学術集会が日本の循環器心身医学における中心的役割を果たすべく活発な討論、講演、発表ができる場を構築したいと考えております。

 皆様におかれましてはご多忙のことと存じますが、本会セッションでは循環器心身医学に関する最新のトピックスとともに、コーヒーブレークでは北海道でしか味わうことのできない厳選スイーツもご用意し、教室員一同「おもてなし」の心でご参加をお待ち申しております。一人でも多くの方々にご参加いただき、活発な議論を展開していただけます様、祈念いたしております。